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ベルンシュタイン III 動作の起源について(8)

原始的な動物は、骨格をもたず、ゆっくり動く平滑筋で動作し、部分的な体節の動作でこと足りていたので、感覚器官からの連続的な制御が必要になる繊細な運動制御システムは必要ありませんでした。

脊椎動物は、繊細な運動制御が必要となってきます。

感覚による調整

実行された動作と、動作の計画とを比べることは感覚による調整機能の本質ですが、これを行うためには、まず前もって運動の計画を立てなければなりません。ということは、計画を可能にするための器官をもっていなければなりません。動作や行為の複雑な系列を正しい順序で実行できるような脳やなんらかの記憶をもっていなければ、動作を比較することができません。運動が計画どおりに進んでいるかどうかを評価する基準がどこにもないからです。

遠距離の感覚器官である遠距離受容器によって、生物は全身の移動運動が可能になりました。移動運動には、全身の筋の組織化された協力的な作業、言い換えればシナジーが必要でした。そのような作業はオーケストラのようなものであり、演奏には指揮者たる脳を探す必要がありました。この大きなオーケストラの奏者一人一人、つまり各横紋筋は、古い平滑筋に比べてずっと不従順で反抗的な手下でした。こうした複雑な仕組みが、これらの筋を収縮させ続けたり(強縮)、力の強弱をなめらかに調節したりすることを中枢神経系に押しつけたのです。

原始的な生物、たとえば障害物に直面したミミズや、草の葉の端まできたカクツムリのことを考えてみましょう。このような困難が生じると、こうした動物たちはあちこちに向かって勢いよく目的のない動きをはじめます。それよりも高度に発遠しているネオキネティック動物では、感覚が動作に先立ちます。つまり、動作は感覚によって方向づけられ制御されるのです。下等な動物では反対で、感覚は動作によって提供されます。一見したところ意味なく組織化されていないような動作が感覚を生じさせ、とりあえず出くわしたものを捉えたり捕まえたりするのです。

高等動物が取り急ぎ感覚による調整を必要としたことは、脳の発達を加速させる新しい強力な要因となりました。このような必要性によって主に感覚野(別々の感覚器官からの複雑な感覚が集合する場所)の発達が促されました。これによって、動物や人間の動作は方向づけられ、空間内での定位が可能になりました。

骨と筋肉を手に入れた脊椎動物ですが、まずは海から出る必要がありました。

海から出る、ということは重力との闘いが始まります。

こうしてみると、生命は進化するほうに伸びていく力のようなものが備わっているように感じます。

遺伝子のいたずらで、私たちの身体は変化します。

いい方に向かえば、より環境に適応し、運が悪ければ、私たちのような難病と呼ばれる形態に移行するのかもしれません。

この記事のまとめ

◆実行された動作と、動作の計画とを比べることは感覚による調整機能の本質である。

◆感覚による調整は、まず前もって運動の計画を立てる必要がある。

◆感覚による調整をするためには、計画を可能にするための器官をもつ必要がある。

◆感覚による調整は、動作や行為の複雑な系列を正しい順序で実行できるような脳やなんらかの記憶をもち、動作を比較する必要がある。

◆感覚による調整には、運動が計画どおりに進んでいるかどうかを評価する基準が必要である。
◆高等な生物は、動作は感覚により方向付けられる。

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