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ベルンシュタイン III 動作の起源について(11)

恐竜の絶滅については、現在では巨大隕石(小惑星)の落下が原因とする説が最有力です。

6500万年前の地層で、メキシコのユカタン半島に巨大なクレーター跡が残っています。

この説が有力となったのはベルンシュタインの没後でした。

ベルンシュタインは進化の立場から恐竜の絶滅について考察しました。

恐竜(爬虫類)は、鳥類に進化しました。

実際、有名なティラノサウルスはニワトリと遺伝子が近い、という研究結果が近年提出されました。

地上に現れた生物の中で最強とも言われるティラノサウルスが、ヒトが食べるニワトリと近い、というのはなんとなく哀愁が漂ってきます。

チキンはおいしいですね。

大好物です。

覇権争い

  爬虫類が滅亡したのはなぜでしょうか? 理由はいくつかありますが、それらは動作と運動の協応の本質についてより深い洞察を与えてくれるので、私たちにとって非常に興味深いものです。

 まずは一つめの理由。ジュラ紀と白亜紀の爬虫類はあまりに大きすぎました。物理学で知られているように、化学反応の速さは温度との相関をもちます。つまり反応は温度が高ければ高いほど遠く進みます。この法則は神経一筋系内での出来事にもあてはまります。電気化学的な興奮信号、つまり神経インパルスの伝達スピードが冷血動物と温血動物で大幅に異なることはよく知られており、正確な測定も行われています。興奮の波はカエルの神経を秒速8~10メートルで伝わるのに対して、ネコや人間では秒速100~120メートルにも達します。さらにこのスピードは、神経の種類(運動神経が最も速い)と体温だけに関係しており体の大きさには関係ないことが分かっています。以上のことから、巨大な爬虫類の神経を伝わる神経インパルスのスピードは、現代のカエルやワニと変わらないと考えて差し支えないでしょう。ここで簡単な計算をしてみましょう。

 体長が30メートルにも達する巨大な爬虫類の後ろ脚に何者かが噛みついたとします。噛まれた爬虫類は痛がり、脚を後ろにグイッと蹴って噛んだ奴を蹴飛ばそうとします。このときまず、痛みが感じられるまでには神経インパルスが6メートルの脚、10メートルの胴体、10メートルの首を伝わらなければなりません。全行程は26メートル、行きで3秒かかる計算です。運動指令が脳から脚の筋に運するまでの帰りの時間も行きと同じだけかかると仮定しましょう。さらには、脳内の反応も少なく見積もって1秒はかかることを考慮しておく必要があります。噛まれてから脚を動かすまで、7秒かかることになります。時計の秒針を眺め、7秒経過するのを辛抱強く待ってみましょう。随分と長い時間です。それに、5フィートもある足の筋が興奮して収縮し、天高くそびえ立つ脚を動かすためにかかる時間も忘れてはなりません。

 そうすると、たとえば敵がライオンや、当時いた体長が3メートルほどのサーベルタイガー(化石獣)の場合にはは反応時間が5分の1秒たらずで済むので、そのような温血肉食動物ならば巨大な爬虫類が何かを感じて意思決定をする前に、脚を完全に食いちぎってしまうことができたはずです。私たち自身がそのような闘いを目撃しているのを想像するとしたら、食われている巨大爬虫類が途切れ途切れにうめき声を漏らすのを、きっとこんなふうに翻訳するだろう。「なんだか・・・だれかに・・・かまれて・・・いる・・・みたい・・・だ!」。このような闘争の結果は目に見えています。

現在は、恐竜も温血動物(いまでは恒温動物というそうです)もいたのではないか、という説があります。

恐竜から進化した鳥類が恒温動物だからです。

しかし、爬虫類は変温動物です。

実際のところは恐竜が絶滅して、存在していないために分かりません。

 ジュラ紀と白亜紀にいた巨大爬虫類の骨の化石を見ると、かれらの長い首のてっぺんについていた頭は、せいぜいネズミの頭ほどの大きさしかなかったことがわかります。大きな体に比べるとあまりに小さな頭も、大部分は顔の骨格と大きな牙をもつ顎で占められており、脳はわずかばかりの狭い空間に閉じこめられていました。動作について脳に相談して返事をもらうのに7秒もかかってしまうような動物は、別に毛むくじやらの肉食動物に出くわさなくてもまともに生きていけそうにないことは明らかです。おそらく、爬虫類の運動反応はほとんど脊髄によって制御されていたのでしょう。それによって神経の伝導時間は2、3秒程度に収まりました。実際、当時の爬虫類の多くは、脊柱(脊髄の容れ物)が腰椎‐仙椎の部分で肥大しており、そこから後ろ脚の神経がはじまっていました。この部分が肥大していたということはつまり、中の脊髄も同じく肥大していたということです。実際、脳よりも大きいほどだったのです。しかしこのような体の構造では、より進んだ脳の神経核である線条体はふだんは使われず、しかも緊急時には役に立たないので、必然的に動作の質と種類が大幅に制限されることになりました。また、腰椎-仙椎の肥大部が独立することで、後肢に前肢とは独立した特殊なリズムを与えたでしょう。そんな動物の歩いている姿はさぞかし異様にみえたに違いありません。

Jp33

ヒトの脊髄も2箇所肥大化しているところがあります。

頚膨大と腰膨大です。

頚膨大はC2からTh2までに及び、C5,6付近で最大になります。そこの神経節はC6です。

腰膨大はTh9,10からL1,2で終わります。最大部はTh12の高さで最大になります。そこの神経節はL4です。

Cというのは首の背骨の上から何番目か、ということを示しています。

Thは胸の背骨、Lは腰の背骨、Sは仙骨です。

ヒトの背骨は重力に強くなるためにS字に彎曲していきます。

そのため、腰の背骨の上から1,2番目(L1,2)あたりで脊髄自体は終わります。

脊髄の順番と神経の支配はこのために下に行くほどずれていきます。

C6やL4付近の神経節は、肩や上腕、大腿を動かす筋がついています。

爬虫類で脊髄神経の太さが制御に影響してくるなら、ヒトもある程度手足の制御をこの脊髄部分に任せているのではないか、と感じますけれど、そういった文献には出会ったことはありません。

 爬虫類王国が滅びた第二の理由は、体長の大小に関わらず共通しています。一般的に爬虫類はみな、卵を暖かい土や砂の中に産むとそれっきりで面倒をみません。生まれた赤ちゃんは自分で殼を破り、一生涯を(短い交尾期間をのぞいては) 一匹だけで過ごすことになります。爬虫類は家族や教育や経験の共有といったことをまったく知らずに成長します。爬虫類の小さな脳は生まれたときから経験を積み重ねていったでしょうが、皮質のない脳(皮質の原基があるにはあったが、哀れなほど粗末な代物だった)は経験を蓄積し役立てるには適していませでした。

ウミガメが卵を産むときに涙を流している映像をみたことがあると思います。

でもウミガメも卵を産んだら生みっぱなしです。

家族や母子関係というのは、脳を進化をさらに促すことになります。

 新参者の哺乳類は、温血動物で威勢がよく、高い性能を備えた脳とそれにふさわしい運動のレパートリーをもっており、爬虫類の対戦相手としては強すぎました。体は小さくとも巧みさを備えた肉食の哺乳類は、巨大な爬虫類に襲いかかり、あっという間に食い尽くしてしまいました。かれらにとって巨大な爬虫類は、敵というよりむしろ、鈍重な、お膳立てされた肉の山にすぎませんでした。

恒温動物である、ということは素早く動くための大事な条件のようです。

世界一大きなトカゲであるコモドオオトカゲも、トラやヒョウなどに比べると動きが遅いです。

この記事のまとめ

◆神経インパルスの伝達スピードが変温動物と恒温動物では大幅に異なる。

◆巨大な爬虫類は脊髄の肥大化した部分で、脳の制御を補っていた。

◆ヒトの脊髄にも頚膨大と腰膨大という2箇所のふくらみがある。

◆哺乳類は爬虫類よりも、体温が高いおかげで動きが速い。

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